リフォーム・リノベ会社設立、起業は今じゃない。独立起業の難しさ

建築士のひとりごと

あなたは今の会社に満足しているだろうか?

もっと自分にあった会社があるのではないか。ないなら作ってしまえばよいのではないか。と考えている人も多いでしょう。

実は私もその中のひとりです。何度も独立起業をしようと目論んできました。しかし、起業するには至っておりません。

そこには、独立起業を阻む大きな壁があるからです。リフォーム・リノベーションの会社を設立し、成功させるのは、とんでもなく難しい…。

その理由を記事にしてみました。興味がある方はご覧ください。

その前にひとつ注意を。訳の分からんコンサル会社にだけは騙されないように気を付けましょう。リフォーム・リノベーションは、世間が思っているほど簡単な業界ではありません。コンサル会社が成功できるノウハウを持っている訳がありません。

そんなノウハウがあったら、そのコンサル会社はもうリフォーム・リノベ業界でNo.1になっているはずです。

リフォーム・リノベの会社設立は、コンサルティング会社に頼らなくても出来ます。成功するのが難しいのです。

リフォーム・リノベーション業界の現状

リフォーム・リノベーションの業界は現状で、すでに参入企業が多すぎてあふれている状態です。

個人的な感覚ですが、私がこの業界で働いてきた印象では、10年前に比べると競合になる会社が3倍~5倍になっています。

特に水回り(キッチン・風呂・洗面・トイレ)リフォームは、競争が激化していて受注率はびっくりするほど下がってしまっています。

なぜこんなことに…。

これは建築業界以外からのリフォーム業界への参入があったからです。10年前は、リフォームといえば、建築士事務所や建設業の許可を得ている業者がほとんどでした。簡単にいうと、リフォームも建築業でした。

 

ところが、その後ホームセンターや家電量販店などが参入し、リフォームが建築ではなくなってしまいました。

リフォームが建築ではなくなったというと大袈裟に聞こえますが、私はまさにその感覚でした。イメージ的に、リフォームが誰でも出来てしまう、物凄く簡単なものに変わってしまったのです。

一般の人から見れば誰でもできるものになってしまったのです。

確かにルール上、水回りのリフォーム程度の少額工事であれば、建設業の許可も必要ありません。

しかし、実際の工事内容からすれば、知識のない者がやるような工事ではなく、トラブルが起こりやすい工事です。

これこそ、建築士や建設業の許可を持ったものが管理するべき案件です。リフォームの質はかなり下がったと思われます。

国は、リフォームの質を保つために、もっと厳しい基準を示して他業種の参入を抑えるべきだったのではないだろうか。

話がそれましたが、10年前であれば競合は少なかったため、リフォーム会社を立ち上げたとしても他社との差別化を図りながら、工夫をしていけば十分成功できたと思います。

しかし、今は状況が悪いです。起業しても埋もれてしまうだけです。

他の業者と差別化できますか?大抵のことは既にやられています。

集客するのが難しい

リフォーム・リノベの会社で最も難しいのは集客です。エンドユーザーを相手にする場合の話ですが。

特に新規顧客をどのように獲得するかが問題です。

たとえ好立地な場所に出店できたとしても、お客さんは勝手に集まっては来ません。

何らかの広告や宣伝を行わなければなりません。

逆に宣伝広告を行っていれば、実店舗がなくてもよいかというとそうでもありません。お店自体がないとリフォーム・リノベの会社は、信頼を得にくいです。

今どきであれば、インターネットによる集客ですが競合は数多います。

SEO対策やネット広告を駆使して集客すると思いますが、はじめて一年未満の会社に信頼があるわけもなく、新規の集客は難航するでしょう。

リフォーム業者紹介サイトに登録したとしても、その中でまた競争があります。そこに勝つためには、やはり信頼や実績が必要です。

 

そこで考えるのは、今の会社で獲得した顧客をごっそり持っていく作戦です。

ちゃんと会社の許可は得ないといけませんよ。

私もそれしかないと考えましたが、簡単ではありません。

美容院や飲食店であれば、リピートさんは1か月や2か月という短いスパンで通ってくれます。そこでいくらかの利益が出ます。

しかし、リフォームやリノベーションを1か月で、もう一度やるというお客さんはおりません。一般的に一度大規模なリフォーム・リノベーションをしてしまえば、10年以上はやりません。

部分的なリフォームであれば、他の部分のリフォームをやることはありますが…。

私自身の話になりますが、現状自分の顧客は150人程度おります。営業会社ではなく、施工管理もすべて一人が一貫して行うスタイルです。

ですので、営業のみの会社よりリピートや紹介は多いと思われます。

その状況でも、150人程度の顧客だけの純粋なリピート工事と紹介による工事の売り上げは、年間2000万~3000万円程度です。

独立しても何とかやっていけるかどうか。ちょっとでも社会情勢が変わってしまえば、終わってしまうような。とても安泰ではありません。

しかも、今の顧客が全員ついてきてくれるとは限りません。多く見積もって半分でしょう。

そう考えると、さらに多くの顧客、300~400人ぐらいは必要だと思われます。あと何年かかることか…。

現状の顧客を持っていく、この作戦が一番確実ですが、長い年月が必要です。

 

この業界は、常に集客がカギになってきます。簡単に集客できるようであれば、もうみんなやってます。

逆に確実な集客方法を思いつけば、迷わず起業してよいでしょう。

競合他社との差別化が難しい

最初に申し上げた通り、現状リフォーム・リノベーションの会社はあふれかえっています。

新規顧客の獲得にもつながりますが、競合他社との差別化が大事になります。

安さなのか、品質なのか、スピードなのか…。

ユーザーに一番わかりやすいのは、「安さ」でしょう。しかし、最も避けたほうがよいのも「安さ」だと思います。はっきり言って儲からないからです。

安くするために、メーカーや小売業者に一生懸命交渉して、材料をたくさん仕入れることで仕入れ値をさげる。とにかく単価の安い職人を使い工事を行う。たくさん仕入れた材料をさばかなければならないので、とにかくがむしゃらに工事をやる。

しかし、売上金額は少ない。安い職人を使うためクレームも多い。忙しいだけでそれほど儲からない。

リフォーム・リノベーションの業界は、安さ勝負に流れがちです。企業同士が首を絞めあって苦しんでいる状態です。

自動車産業を見習ってほしいです。価格ではなく性能で勝負。

リフォーム・リノベーションも質で勝負する業界になってほしい。

しかし、「品質」で差別化は正直難しいです。一般のユーザーからすれば工事の質なんて、さっぱりわからないだろうし、こちらとしても伝えにくい。

実際差があるのは、「品質」と「対応力」なのは間違いない。

競合他社との差別化ができ、ユーザーにその差が明確に示せるようであれば、明確に伝えることができるようであれば、起業しても成功は間違いないでしょう。

起業しやすい面もある

特にリフォームの会社を設立するのは比較的簡単です。

資金的な面でいけば、初期投資は多少必要ですが、運転資金はさほど必要ありません。

リフォーム工事は短期の工事のため、売上金はすぐ入りますし、業者への支払い期限はかなり余裕がありますので資金が足りないということはあまり起きません。

しかし、従業員を雇っていればお給料が発生しますので、その時お金があるかどうかは難しいです。

 

下請けのリフォーム会社であれば、営業会社がちゃんと仕事を取ってきてくれれば普通にやっていけます。儲かるかどうかは別として。

しかし、営業会社が芳しくないと影響をもろに受けるため、その時にどうするかが問題です。

仕事がもらえなければ終わってしまいます。リスクはちゃんとあります。

 

フランチャイズとして始めるのであれば、簡単に起業できるでしょう。

これも儲かるかどうかはわかりませんが…。

 

そもそも参入しやすいがために、個人で起業して成功するのが難しくなってしまっているので。

起業するだけが目的ではないですからね。

まとめると…

リフォーム・リノベーションの会社を設立するのは簡単ですが、成功させるのは非常に難しくなっています。

少なくとも、今のタイミングで起業はむずかしいでしょう。

社会情勢で、この業界に新しいルールが適用されることがあればそのタイミング。

新規顧客の獲得方法を確立でき、競合他社との差別化が確実にできる場合。

そのときは、必ず成功することでしょう。

 

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